太陽光発電所のような再生可能エネルギーを発電してくれる設備を増やそうということで導入された制度がFITです。そんなFITによって作られた電力は非化石価値がないものと言われております。今回はその理由についてみていきましょう。
○FIT電気と非化石価値
・今日、多くの電力会社は、非化石電源である再生可能エネルギーをFIT制度を通じて購入しております。このようにいうのも、FIT制度を利用する方が、しないよりも安価で再エネを購入できると言われているためです。
このFIT制度(固定価格買取制度)ですが、再エネで発電した電気を、電力会社が一定価格によって一定期間買い取ることを国が約束している制度になります。この制度において、電力会社が電気を買うための費用の一部は我々消費者が毎月の電気代と一緒に支払っている再エネ賦課金からまかなわれております。これによって、電力会社は化石電源と比べてまだコストの高い再エネを購入しやすくなります。そして、再エネ発電を行う発電事業者は購入が安定することによって再エネ発電事業の持続的な普及運営がしやすくなるという仕組みになっております。
このFIT制度で購入された再生可能エネルギーはFIT電気と呼ばれています。FIT電気ももちろん、電気そのものとしての価値と非化石価値の両方を有しております。ですが、FIT電気が持っている非化石価値を電力会社が使うことはできません。なぜなら、FIT電気の非化石価値は、再エネ賦課金を負担した我々消費者に分配されます。そのため、電力会社が購入するFIT電気には、電気そのものとしての価値しか残りません。つまり、火力などの化石電源と同じようにみなされるということになってしまうというわけです。FIT電気は消費者のお金で買った電気なので、電力会社が「エコで環境にやさしい」などというイメージを享受すべきでないという考えによります。そのため、電力会社が販売するFIT電気は、再エネで作られた電気でありながら、非化石価値がない電気として扱われます。
このような考えからFIT電気は非化石価値がないと言われております。