前回までに現行の固定価格買取制度の発足から現在のこと、よくある質問やその回答について書いてきました。
今回からいよいよ目前に迫った改正FIT法について調べていきます。
■改正FIT法
平成29年4月1日から、再生可能エネルギー(以下再エネ)の最大限の導入と国民負担の抑制との両立を図るため、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律」が施工されます。
■制度改正の背景
エネルギー自給率の低い日本では再生可能エネルギーの導入拡大を目指すことで、自給エネルギーの確保やCO2削減の観点から重要視されてきました。
2012年の制度開始以降再エネ導入量は2.5倍に増加しましたが、それに伴って再エネ賦課金の単価も上昇し国民負担が増加しています。
■見えてきた課題
2012年の制度開始以降、再エネ導入量は4年間で2.5倍まで増加しました。
それにより顕在化してきた課題は、主に以下の3点です。
・太陽光に偏った導入
(太陽光の認定量が9割超、未稼働案件がかなり多い)
・国民負担の増大
(買取費用は2016年度で約2.3兆円だが、エネルギーミックスでは2030年に3.7~4.0兆円を想定)
・電力システム改革
(小売りの自由化や広域融通とバランスを取った仕組み)
これらは以下の改正FIT法により改善を目指します。
1.新認定制度の創設
・未稼働案件の排除と新たな未稼働案件発生防止
・適切な事業実施を確保する仕組み
2.コスト効率的な導入
・大規模太陽光発電の入札制度
・中長期的な買取価格目標の設定
3.リードタイムの長い電源の導入
・複数年買取価格を提示することで地熱、水力、風力などの導入を後押し
4.減免制度の見直し
・減免率の見直し
5.送配電買取への移行
・FIT電気の買取義務者を小売事業者から送配電事業者に変更
以上5点により再エネ最大限の導入と国民負担抑制の両立と、2030年度のエネルギーミックス22~24%達成を目指すことが、改正FIT法を施行する目的となります。